animate() の easing の定義方法

.animate()で指定する easing 関数は、 アニメーションの開始地点から目的地点までの進み方を定義します。 指定方法は こちら に記録したので、ここでは独自に easing 関数を 定義する方法とその注意点を記録しようと思います。

主に jQuery 1.9.1 を使って調べたので、他のバージョンでは 当てはまらないことがあるかもしれませんのでご注意下さい。 長い間変わっていないようですが、 たぶん公式にはドキュメント化されていません。 その点は留意して下さい。

※jQuery Migrate プラグインの方針に沿うように記事を変更しました。

easing 関数の定義方法

easing 関数は以下のように jQuery.easingオブジェクトに定義します。

// myEasing という名前の easing 関数を定義
$.easing["myEasing"] = function(p){
  // 数値を返す
};

// こっちでもよい
$.extend( $.easing, {
  myEasing: function(p){
    // 数値を返す
  }
});

この時、jQuery.easingオブジェクトの プロパティ名が easing 関数の名前になります。 .animate()で指定する時はこの名前を使います。

// 定義時のプロパティ名を指定する
$( element ).animate({ marginLeft:  "+=100px" }, 400, "myEasing");
// または
$( element ).animate({ marginLeft:  "+=100px" },
                     { easing: "myEasing" }   );
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easing 関数への引数

今のところ、easing 関数には5つの引数が渡されていますが、 引数を2つ以上取るようにすると jQuery Migrate プラグインから警告され "linear"に変更されてしまうため、引数は第1引数(p)だけにして 第2引数以降は使わないようにした方が無難です。

p
アニメーションの進捗状況を表す 0 から 1 の間の数値。 0 が開始時点で 1 が終了時点。
t
アニメーション開始時から現在までの経過時間。ミリ秒単位。 1.8 から整数ではなくなった。
s
常に0
e
常に1
d
.animate()で指定した duration の値。
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easing 関数の返り値

アニメーションするプロパティの値は easing 関数の返り値をもとに決定されます。そのため、 easing 関数の返り値は数値になるようにします。 その返り値を使って、以下のような式で アニメーションするプロパティの値が決定されています。

now = ( end - start ) * eased + start;
// now   ... アニメーションするプロパティの値
// end   ... .animate() で指定したプロパティの目的値
// start ... アニメーション開始時のプロパティの値
// eased ... easing 関数の返り値

eased が0なら now は start になり、eased が1なら now は end になります。 つまり、easing 関数の返り値は、 アニメーション開始時のプロパティの値を0.animate()で指定したプロパティの値を 1とした場合の割合の値になります。 マイナスの値や1以上の値も返すことができます。

例えば、marginLeftプロパティを100から 200ピクセルにアニメーションする場合、 指定した easing 関数がある時点で0.5を返せば その時点でのプロパティの値は150になり、 他の時点で1.5を返せば250になり、 また別の時点で-1.5を返せば -50になります。

jQuery 1.7 まではアニメーションの完了時点で easing 関数が 目的値以外の値(つまり1以外の値)を 返してもプロパティの値に反映されず .animate()で指定した目的値が設定されますが、 1.8 以降では完了時点でも easing 関数の返り値が反映されるようになりました。

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step 関数や progress 関数との比較

同じようにアニメーションをカスタマイズできる .animate()のオプション、step と progress(1.8以降) との違いについて記録しておきます。

実行順序

easing 関数 → step 関数 → (プロパティ更新) → progress 関数という実行順序になります。そのため、 easing 関数での変更結果は step 関数や progress 関数で 変更することができます。

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プロパティごとに指定可能

easing 関数はプロパティごとに指定できます。step 関数と progress 関数は.animate()ごとにしか 指定できません。

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あらかじめjQuery.easingに登録する必要がある

step 関数や progress 関数は.animate()を呼ぶ時点で 関数オブジェクトを指定することができますが、 easing 関数の場合はあらかじめjQuery.easingに 登録しておいてから.animate()でその名前を 文字列で指定します。 また、jQuery.easingオブジェクトは全ての .animate()で共有します。
そのため、 「この.animate()の呼び出しだけにちょっとした 独自の easing 関数を作って使いたいな」 というような用途には不向きです。(※ easing 関数を関数オブジェクトで指定できるようになる プラグイン もあります)

// easing 
$( elem ).animate({ top: ["100px", "myEasing"] }); // 名前で指定

// step, progress
$( elem ).animate({ top: "100px" },
                  {
                    step: function( now, tween ){
                      // 関数オブジェクトで指定可能
                    },
                    progress: function( anim, percent, remaining ){
                      // 関数オブジェクトで指定可能
                    }
                  });
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実行中の情報は時間のみ

easing 関数は進捗状況(第1引数)と経過時間(第2引数)、 継続時間(duration、第5引数)は引数から知ることができますが、 移動距離(開始値や目的値)や対象要素、対象プロパティなどを 知ることができませんし、jQuery.easingに あらかじめ登録して.animate()で共用するため クロージャで情報を渡すにも向いていません。

一方、step 関数や progress 関数は それらの情報を取得でき、関数オブジェクトを指定するため クロージャで情報を追加することもできます。

// step, progress は様々な情報にアクセス可能
var info = { otherElem: $( otherElem ) };
$( elem ).animate({ top: "100px" },
                  {
                    step: function( now, tween ){
                      // this は 対象要素
                      // tween には様々な情報(プロパティ名,
                      // 開始値, 目的値, 単位 など)が入る
                      var elem = info.otherElem;
                    },
                    progress: function( anim, percent, remaining ){
                      // this は 対象要素
                      // anim には様々な情報(tweens プロパティから
                      // Tween オブジェクトを取得できる)が入る
                      var elem = info.otherElem;
                    }
                  });
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対象プロパティの値以外に干渉できない

上の通り取得できる情報は数値のみのため、 easing 関数の返り値でしかアニメーションに影響を 及ぼすことができません。つまり、対象プロパティの値にしか 干渉できません。step 関数や progress 関数は対象要素に アクセスできるので対象プロパティ以外のプロパティの値を 変更することができます。

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まとめ

easing 関数で 時間に対するプロパティの値を割合で返す以外のことを行うのは 難しいでしょう。 つまり、開始地点から目的地点までの進み方についての カスタマイズには適していますが、それ以上の アニメーションの細かい挙動をカスタマイズしたい場合は step 関数や progress 関数を利用するようにした方がいいと思います。

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